カスタマーエクスペリエンスとは?
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客と商品/サービスの相互作用に基づいて、顧客があなたのブランドをどのように認識するか?を示す言葉です。言ってみれば、CXは組織に対する認知の総体系であり、顧客が最初に広告等の資料で目にした瞬間から、購入後のカスタマーサポートチームとの会話でどう感じたかに至るまで、あらゆるインタラクションの経験を表します。もちろん、インタラクションが良ければ良いほど、より良い体験とみなされます。
カスタマーエクスペリエンスは、カスタマーサービスやカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)とは異なり、ビジネスの一分野としてきれいにマッピングされるものではありません。基本的に、カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が御社のブランドに接したときに、その顧客が御社のブランドをどのように認識するかを意味します。
そもそも、カスタマーエクスペリエンスは、特に長期的な戦略や計画を立てる際に、ビジネスでよく使われるようになった用語です。顧客体験の全体的な文脈を設定するのは、製品やサービス、メッセージング、販売や販売後の段階でのやりとりなどです。しかし、これらのタッチポイントがどのように体験されるかという認識は、顧客が持つものであり、企業がコントロールできるものではありません。つまり顧客とそのジャーニーによって定義されるものなのです。
カスタマーエクスペリエンスの重要性
ブランドとしての約束を一貫して守り、顧客に最適なエクスペリエンスを提供すれば、それが経済的な利益につながります。しかし、これは、ブランドが財務パフォーマンスや競合他社との優位性に結びつけずに、より高いネットプロモータースコア(NPS)を追い求めていた以前とは異なるものがあります。
私たちは主催者で、お客様をパーティーに招待されたゲストとして見ています。 顧客体験のあらゆる重要な側面を少しでも良くすることが、私たちの毎日の仕事です。
– ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)
組織がCXマインドセットを進化させるにつれ、CXは目的を達成するための手段であることを認識するようになりました。高いCX指標は、それに伴う財務業績の向上なしにはほとんど意味がありません。
CX向上の5つのメリット
CXリーダーはいかにしてCXの遅れを取り戻すのか:
- #1位 – 2020年までに、顧客体験は価格や製品を抜き、ブランドの差別化要因になる – ウォーカー
- 86% – 優れたカスタマーエクスペリエンスを受けた人のうち、同じ企業から再購入する可能性が高い – テムキングループ
- 6倍 – 2010年から2015年にかけて、CXリーダーはCX後発企業に比べ6倍のスピードで成長した – フォレスター
カスタマーエクスペリエンス対カスタマーサービス
ここでカスタマーエクスペリエンスと、カスタマーサービスを区別してみましょう。もっとも、カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンス・マネジメントには、「顧客を幸せにする」という重要な共通の目標があります。
しかし、カスタマーエクスペリエンスとは、単に古い考え方に新しいラベルを付けたというよりも、カスタマーサービスを含む、より広範な概念を指します。
カスタマーサービスとは、コンタクトセンターでの電子メール、店頭での対面、受付での対応など、顧客に提供する注意や対応のクオリティのことです。これらは、スタッフとの顧客接点を通じて、またはウェブサイトのサポートページやカスタマーサービス・チャットボットなどのサービスベースのツールを通じて提供することができます。
また、部署や職種として見ればカスタマーサービスは顧客と接する仕事であり、問い合わせに答えたり、日常的なアフターケアや発生した苦情に対応したりします。これはカスタマーエクスペリエンスを構成する重要な要素です。
カスタマーエクスペリエンスには、カスタマーサービスの質だけでなく、マーケティング、広告、マーチャンダイジング、製品デザイン、雇用の決定、ロジスティクス、ブランドの目的、店舗内の美観、サプライチェーンの選択など、顧客の成果に影響を与える事業運営のあらゆる部分が含まれます。また、第三者のレビューや意見、プレスやメディアの報道、さらにはブランドの知名度が高ければ大衆文化に至るまで、CXは自社の管理領域を超えて広がっていきます。
要するに、CXの範囲は広大であり、カスタマーサービスはその中の比較的小さな一部なのです。
良いカスタマーエクスペリエンスとは何か?
顧客の体験はブランドが完全にコントロールできるものではない、という事実について触れました。
これにはいくつかの理由があります。
- 顧客体験は様々な要因で構成されますが、その中には企業の直接的な影響力の及ばないものもあります(例えば、ユーザーが作成したソーシャルメディアコンテンツや第三者のレビューなど)。
- 顧客は決められたプロセスをたどるのではなく、自ら創造した旅路(ジャーニー)を歩みます。立ち止まってはまた歩き、時にはあるプラットフォームやチャネルから別のプラットフォームやチャネルへと移動したり、さまざまなその足取りをたどります。顧客体験は各タッチポイントの質ではなく、旅全体から得られます。
では、このことを念頭に置いて、ポジティブなカスタマーエクスペリエンスとはどのようなものなのか、また、カスタマーエクスペリエンス・マネジメントの目標を達成したことを企業全体として知るにはどうすればよいのかをご説明しましょう。
よくあることですが、カスタマーエクスペリエンスを理解するためには、まずオーディエンスに尋ねるのが一番です。次のセクションでは、さまざまなカスタマーエクスペリエンス測定基準と、優れたカスタマーエクスペリエンスマネジメントプログラムの基礎となる要素を挙げてみます。
早速、CES、CSAT、NPSのような定量的な指標を追跡するだけでなく、顧客からの定性的なエクスペリエンスデータを収集し、それに基づいて行動するように設定しましょう。その結果、顧客の認知の要因を理解することで、カスタマーエクスペリエンスの低下を防ぐことができます。
成功するカスタマーエクスペリエンス・マネジメント
成功するカスタマーエクスペリエンス・マネジメント戦略では、日々の意思決定の中心に顧客を置きます。顧客ファーストです。もし、顧客満足度が向上すれば、ブランドロイヤルティやサービス提供コストの削減につながります。
それでは、カスタマーエクスペリエンス・マネジメントのフレームワークを構築するための提案手法と、CXマネジメントをビジネスの優先事項とするために必要なステップを下記でご紹介します。
エクスペリエンス管理(XM)のフレームワークを構築する
カスタマーエクスペリエンスが組織に対する顧客の認識であるとすれば、カスタマーエクスペリエンス・マネジメント(CXM)はその認識をコントロールするための戦略です。CXMは、単に「管理」するだけでなく、常に状況を追跡するのが特徴です。ビジネス戦略においては、カスタマーエクスペリエンスが全活動の中心部分だと考えるようになったため、今では特別な用語という認識はなくなりました。興味深いことに、フォレスターがSaaSカスタマーエクスペリエンス・プロバイダーのWaveランキングで「CXM」という用語を使用したことが、現在も使用されている主な理由となっています。
カスタマーエクスペリエンスを管理する方法を理解するには、まずエクスペリエンス管理(XM)、つまりビジネスの4つのコア・エクスペリエンス(顧客、従業員、製品、ブランド)を測定し、それぞれを改善するための規律を理解する必要があります。
また、カスタマーエクスペリエンスは、エクスペリエンス管理(XM)の一部であるため、企業はテクノロジー、文化、6つのコンピテンシーを組み合わせて構築されたエクスペリエンス・マネジメントのオペレーティング・フレームワークを採用すべきです。これらの各要素も重要ですが、6つのコンピテンシーとそれに関連する20のスキルにも注目してください。
カスタマーエクスペリエンスを管理するために6つの体験管理コンピテンシーを活用します
- リード – 複数年にわたり、さまざまな人々やプロジェクトにまたがるカスタマーエクスペリエンスへの取り組みをアーキテクトし、調整し、成功に導くこと
- 実現 – カスタマーエクスペリエンスの取り組みが明確に定義されたビジネス目標を達成できるよう、適切な指標を特定し、追跡すること
- 活動 – 望ましいカスタマーエクスペリエンスの成果を達成するための適切なスキル、サポート、モチベーションを組織に持たせること
- 啓発 – 実行可能な洞察の収集、分析、配布をすること
- 対応 – 情報に基づいて継続的に行動を起こす組織の仕組みを構築すること
- 分裂 – 競合他社を差別化する経験を特定し、創造すること
XM Instituteは、6つのエクスペリエンス管理コンピテンシーにおける組織の強みと弱みを特定するための、カスタマーエクスペリエンス成熟度アセスメントを提供しています。自社の現状と可能性を明らかにすることで、市場シェアを向上させ、ビジネスの成長に取り組んでください。
フレンドリーなカスタマーエクスペリエンス戦略の構築
チームをサポートし、顧客の期待に応えるカスタマーエクスペリエンスを提供するためのフレームワークを構築したら、次にこのフレームワークを活用したカスタマーエクスペリエンス戦略を作成しましょう。CX戦略は、単にフィードバックを収集するだけでなく、それを実用的な情報源に変えて、顧客にポジティブな体験を提供するものでなければなりません。
このカスタマーエクスペリエンス戦略には、以下の3つの柱があります:
顧客の視点に耳を傾け、理解する
顧客があなたのブランド体験を語るのを待つのではなく、積極的にフィードバックを得るように心掛けましょう。顧客満足度を測定するために顧客アンケートを送るだけでなく、顧客がカスタマーサポートに電話をかけたり、ウェブサイトのチャット機能に参加したりした場合など、顧客がすでに行っている会話の中から貴重なデータを調べてみて下さい。オムニチャネル会話分析などの顧客経験ツールを使用すると、顧客がどこでデータを共有していても、経験データを収集できます。
顧客満足度向上のための顧客プロファイルの構築
顧客は、あるブランドと接するとき、顧客体験の各接点で一貫した体験と認識を期待しています。魅力的なマーケ戦略からカスタマーサービスチームとの会話まで、顧客はあなたのブランドがパーソナライズされた体験を提供することを望んでいます。
顧客とのあらゆるやり取りに関するデータを網羅したカスタマー・プロフィールを構築すれば、顧客体験の細部に至るまでパーソナライズすることができます。人間味のない一般的なカスタマージャーニーを提供するのではなく、顧客のニーズや期待に合わせた体験を提供することができるので、その結果、顧客満足度が向上します。
顧客データは、バラバラに収集されることがよくありますが、エクスペリエンス管理(XM)のフレームワークを導入すれば、チームや部門の連携を図り、業務全体で顧客情報を共有することが、組み込みのプロセスになります。顧客が経験したすべてのインタラクション、例えば、それについてどう感じたか、次の起こりうる行動についての強力な顧客プロファイルを構築すれば、真のインパクトを持つ顧客体験を生み出すことができます。
共感を持って行動し、経験を迅速に改善します
顧客は、お金だけでなく顧客情報も継続的に提供してくれます。積極的なカスタマーエクスペリエンス戦略は、顧客との関係を双方向のものとし、ブランドは得たものと同じだけのものを提供します。
顧客からのフィードバックを収集することは重要ですが、耳を傾け、変化を実施したことを顧客に示すことが、CXリーダーになるための鍵となります。調査では、62%の消費者が、企業は「自分たちのことをもっと気にかけてほしい」と回答しており、ここでもCXリーダーが顧客嗜好の最前線に躍り出るチャンスであることを示しています。
収集した顧客データを活用して分析し、浮かび上がった情報に基づいて行動を起こせば、顧客とその意見が重要であることが身に染みて実感できます。 リアルタイムのフレッシュな情報を使えば、顧客が常にポジティブな体験を得られるよう、光速で変化を加えることができます。
市場や経済の変化にかかわらず、一貫してブランドへの信頼を示す顧客を確保することができるのです。顧客は、顧客のニーズがどのようなものであっても、ポジティブな体験を提供してくれるあなたのブランドを信用できると思っているのです。
顧客関係マネジメントをCX戦略に組み込む
多くの場合、組織の優先事項はCRMであり、顧客が単なる閲覧者から購入者に確実に転換することを目標にしています。組織では、顧客体験を促進する定性的な側面よりも、顧客体験の定量的な側面に焦点が当てられることがあります。また、カスタマーエクスペリエンスをすぐに向上させることよりも、質の低いカスタマーエクスペリエンスを事後的に改善することに重点が置かれることもあります。
カスタマーエクスペリエンスの向上と顧客中心のアプローチにより、顧客関係管理はよりシンプルで効果的なものになります。言うまでもなく、顧客関係に対する新たな期待に応えるには、貴重なデータを重要な顧客インサイトに変えるカスタマーエクスペリエンス管理戦略が最適です。
カスタマーエクスペリエンス戦略の主な要素
優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することは、業績の向上につながります。また、顧客が自社ブランドに期待すること、そして顧客の満足にとって何が重要であるかを理解することは、優先順位の設定と投資のリスク回避に役立ちます。以下は、優れたカスタマーエクスペリエンス戦略の中核となる基盤の一部です:
1. カスタマージャーニーマッピング
現在のエクスペリエンスを理解するための最初のステップは、カスタマージャーニーマッピングであることが多いです。多くの場合、企業はカスタマージャーニーの各要素において優れたサービスを提供していますが、顧客中心の視点がなければ、顧客との明確な接点において失敗する可能性があります。
タッチポイントだけでなく、カスタマージャーニーマップを通じて旅全体を見ることで、顧客の視点から体験を組み立てることができます。カスタマージャーニーマップをフルに活用すれば、現状のカスタマージャーニー全体の概要を示すだけでなく、より良いコンバージョンとカスタマーエクスペリエンスの向上のために、顧客のための新たな道筋を作ることができます。
2. 部門を超えたコラボレーション
ビジネスがサイロ化することで、ジャーニー全体で一貫したサービスを提供することが難しくなることがよくあります。ビジネスのあらゆる部分でカスタマーエクスペリエンスに与える影響を把握しない限り、前進は限られたものになるでしょう。 例えば、請求業務やクレジット業務は、フロントラインのデリバリーから切り離されていると考えるかもしれませんが、顧客にとっては、困難な請求業務が店舗やデジタルでのポジティブなエクスペリエンスに優先する可能性があります。
もっとも、部門をまたぐエクスペリエンス・ガバナンスは、ビジネスがサイロ化を解消し、有意義な方法でカスタマージャーニーのエクスペリエンスを改善してくれます。顧客中心の視点にコミットすることで、既存のプロセスを再編成することができるので、ビジネスとして改善されたエクスペリエンスを提供できるようになります。もちろん、効果的で生産的なカスタマーエクスペリエンス戦略は、多部門にまたがるエンゲージメントによって構築されます。
3. 常に耳を傾ける
完全な顧客中心のカスタマーエクスペリエンス戦略を策定するためには、カスタマージャーニーにおけるデリバリーの現状を理解し、効果的な改善手段を特定する必要があります。CXプログラムは、顧客がどのような体験をしているのか、そしてその体験がブランドとのエンゲージメントにどのような影響を与えているのかをリアルタイムで把握することができます。
顧客が最も重視するブランド・エクスペリエンスの要素を一貫して提供するためには、継続的に耳を傾けることが極めて重要です。様々なタッチポイントやエクスペリエンスを通じてリアルタイムで顧客からのフィードバックを収集し、報告すれば、改善すべき点を特定し、優先順位をつけることもできるでしょう。
しかし、単にフィードバックを求めるだけではありません。あなたが耳を傾けていようがいまいが、顧客は肯定的であろうと否定的であろうとストーリーは真実を語るものです。
未承諾データは、ソーシャルメディア上の会話や第三者のレビューサイト上のコメントなど、さまざまな形で現れます。また、コンタクトセンターにかかってくる電話の中に隠れていることもあります。このような情報は、顧客との対話に特別な文脈を提供してくれるので、顧客の感情、感動、意図、努力を垣間見ることができます。
顧客の全体像を把握するためには、すべてのコミュニケーションチャネルからあらゆるシグナルを識別し、すべてのデータを意味のある情報に変換できるプラットフォームを使用することが重要です。自然言語理解(NLU)を活用したテキスト分析機能を備えれば、データを自動的に収集・照合し、コンテキストを考慮した洞察を得ることができます。
4. コミュニケーション
エクスペリエンスを改善するためのコミュニケーションは不可欠です。また、コミュニケーション・チャネルにおける直接的なカスタマー・エンゲージメントや問題解決から生まれるポジティブな口コミは、既存顧客と潜在顧客の両方から企業がどのように見られているかに大きく貢献します。これは、顧客獲得率の向上や顧客離れの減少に不可欠なことです。
また、顧客ロイヤルティは、顧客が経験するブランド・プロミスを一貫して提供することによって獲得さ れます。顧客が最も重要視することをきちんと行うことが、CX成功の鍵です。また、エクスペリエンスの失敗を認め、解決することは、ブランドに対する信頼を築きます。
カスタマーエクスペリエンスの測定
全体像を把握する
カスタマーエクスペリエンスの測定について最も重要なことは、測定基準そのものが目的ではないということです。より高いNPSやCSATを追い求めることが目的ではありません。カスタマーエクスペリエンスの取り組みを測定する目的は、以下のとおりです:
- 実施した措置の進捗状況を追跡する
- 改善領域を特定する
- CXのROIを計算する
- 行動に優先順位をつけ、適切なものに投資する
NPSのようなXデータ指標を、平均消費額や顧客維持率のようなOデータ指標と組み合わせることは極めて重要です。なぜなら、NPSは急上昇しているかもしれない一方で、実際は不満足な顧客があなたを見捨てたからかもしれないからです。すべてのデータで全体像を把握することは、何がフィードバックをもたらしているのかを知るために非常に重要です。
顧客の声を聞き、改善を追跡する
ここでは、顧客から直接意見を求める最も一般的な方法をいくつか紹介します:
ネットプロモータースコア (NPS)
NPSの価値については激しい議論ありますが、基本的なレベルでは、NPSは全体的な顧客支持の数値を率直に提供してくれます。しかし、組織全体においては、NPSの使用と制限に関する期待を設定する必要があります。NPSは取引レベルではあまり機能せず、文化的な違いや、スコアを適切に解釈していない可能性があるからです。(例えば、誰かがあなたに「6」の評価を与えた場合、彼らは本当に否定的なのでしょうか?)
カスタマーエフォートスコア(CES)
カスタマーエフォートスコアでは、デジタルサービスの基本的な機能性と顧客のニーズとの関連性を理解できます。この指標は、顧客が与えられたタスクを簡単に完了できるかどうかに焦点を当てています。
顧客満足度スコア(CSAT)
CSATでは、顧客が自社の製品やサービスにどの程度満足しているかを把握できます。さまざまなタッチポイントでこのデータを収集すると、カスタマージャーニーのさまざまなポイントにおけるポジティブ、またはネガティブな体験の主要因を特定することができます。
間接的なCXデータで文脈を見る
アンケートによる直接的な顧客フィードバックの活用も有効ですが、前述のような間接的な顧客フィードバックも、文脈を把握するための重要なツールとなります。また、ビデオフィードバック、ソーシャルメディア上のダイレクトメッセージ、レビューサイトのコメントなど、顧客が好む方法でコンタクトを取る選択肢を与えることもできます。間接的なフィードバックと直接的なフィードバックの両方を活用することで、顧客の動機や感情を十分に把握した上で行動を起こすことができます。
カスタマーエクスペリエンスを向上させるには
測定は、常に優れたカスタマーエクスペリエンスを生み出すための一歩に過ぎません。CX測定基準は、カスタマーエクスペリエンスのどこでアクションを起こす必要があるか、何をどのように改善する必要があるかを示す確かな指標となります。しかし、カスタマーエクスペリエンスに関するインサイトを収集するだけでは不十分です。
1. 顧客が最も重視するものだけを提供する
顧客のブランドに対する見方と、彼らにとって最も重要な瞬間を理解することは極めて重要です。ブランド・プロミスを毎日一貫して提供することは、顧客を維持し、ブランドロイヤルティを確立し、基盤を拡大する上で忘れてはならないアクションです。
また、顧客を心から理解すれば、行動と投資において、何が優先であるかを把握することもできるでしょう。もちろん、顧客体験の中には、優先順位が下位に落ちるものもあります。しかし、重要なのは、最もパフォーマンスの低い要素が、顧客にとって最も重要でない要素であることを確認することです。こういった辻褄の合う方程式を知っていれば(通常、主要なドライバーから導き出される)、ビジネスでの焦点を合わせることができ、かつ適切なKPIを保つことができます。
さらに、改善しようとしているロイヤルティ行動を特定すれば、主なCX指標にどのような変化をもたらすかをリーダーシップに示すこともできるでしょう。そうすれば、継続的なCX支出に対する賛同を得た上で、継続的な改善を実現することができます。
最も不幸な顧客は、最大の学習源である。
– ビル・ゲイツ
2. 顧客の声に注意深く耳を傾け、そのフィードバックに基づいて行動する。
非常に生産的なアプローチの1つとして、クローズド・ループ・プロセスを使用して顧客の懸念に直接対応することが挙げられます。B2B CXでは、満足度のスコアが低い顧客やNPSを低下させた顧客をフォローアップすることも可能です。通常、B2Cよりも少ない回答しか得られず、顧客一人ひとりとの関係も緊密であることから、このようなアプローチは非常に生産的だと言われています。
B2Cの場合、顧客からのフィードバック調査に対する回答率はもっと高いことが多いです。そのため、顧客から問題点として指摘されたことは絶対に解決すべきですが、スコアの低い人へのフォローアップは非生産的であることが多いです。特に、マネジャーがそのようなディスカッションのためのトレーニングやコーチングを受けていない場合はなおさらでしょう。
3. 行動を起こしたことを示す
カスタマーエクスペリエンス・プログラムは、ブランドと顧客の間で継続的に行われる話し合いが中心となります。そのため、特に連絡を求めていない回答者であっても、フィードバックに対して行動を起こしていることを示すことが極めて重要です。顧客主導のイニシアチブにシンプルなメッセージを添えてみましょう- 例えば、「あなたが話してくれました。私たちは耳を傾けました。」というメッセージは、フィードバックを提供することが、ビジネスにおける社交辞令でないことを示しています。ビジネスがフィードバックを真剣に受け止め、それに基づいて行動すると思えば、顧客がフィードバックを提供することにも積極的になるはずです。
4. 測定ではなく改善に焦点を当てる
カスタマーエクスペリエンスは指標ではなく、実質的なビジネス利益をもたらす継続的なプログラムです。つまり、数字を追い求めるだけでは不十分なのです。ぜひ、具体的な成果をもたらすCXプログラムを測定値と併せて活用しましょう。CX指標を発表したり、レビューするときは、主な学習とその結果によるアクション・アイテムを組み合わせてください。
CXプログラムの成果を加速させるためにも「クイックウィン」を作成し、他と共有しましょう。
5. 成功を積み重ねる
XM Instituteは、CXプログラムの設計、実施、成熟に役立つリサーチやツールを提供しています。これからCXを始める方には、カスタマーエクスペリエンスの基礎 ローンチパッドが役立つヒントやリソースが便利でしょう。XMインスティテュートのブログでは、顧客、従業員、製品、ブランドというエクスペリエンス・マネジメントの4つの要素すべてに関する重要なトレンドとベストプラクティスに関する情報を提供しています。
顧客がまた見たくなるような、友人を連れてきたくなるようなことをする。
– ウォルト・ディズニー
デジタル・カスタマーエクスペリエンスに関する考察
企業は、主要なデジタル・コンポーネントを理解することで、デジタル・チャネルの統合を改善し、ブランド体験を最適化することができます。ここでは、デジタルCX最適化へのアプローチ方法をいくつかご紹介します。
タクティカル
デジタルCXのあまり魅力的ではない側面ですが、ページロードや購入プロセスwの障壁を理解することは、デジタルコンバージョンにとって非常に重要です。サービスや製品を通じてポジティブな顧客体験を提供したとしても、顧客がカスタマージャーニーを迅速かつスムーズに通過できなければ、ブランドとのインタラクションに対してネガティブな感情を抱くことになってしまいます。
このアプローチは診断的な要素があり、多くの場合、カスタマー・エフォート・スコア(CES)のような指標を用います。つまり、顧客がデジタルチャネルを効果的に利用することがどれだけ難しいか、また、顧客がタスクを完了できたかどうかを診断するのが特徴です。
ストラテジック
検討から購入までの全体的なカスタマーエクスペリエンスにおいて、デジタル・チャネルが果たす役割を理解することは絶対に不可欠です。企業はしばしば、バスケット放棄をコンバージョンの失敗と見なします。しかし、顧客が完全に放棄しているのではなく、実際には購入の途中である可能性もあるため、そういった事実を理解することも戦略上不可欠です。特に消費財の場合、顧客はオンラインで購入の可能性を検討した後、特定の製品を試したり体験したりするために店舗に足を運ぶかもしれません。その顧客は店舗で購入するかもしれませんが、デジタル体験が購買行動に大きな影響を与えたことは間違いありません。
チャネル
各チャネルが果たす役割を理解することは、ブランド体験全体を最大化するために極めて重要です。通常、顧客はチャネルで考えるのではなく、ここで問題を解決し、選択肢を見つけたいと考えています。コンバージョンには、複数のチャネルとの接触が不可欠かもしれません。各チャネルが果たすさまざまな役割を理解することで、より顧客中心のビジネスに生まれ変わります。
顧客体験価値を高め
「顧客」を「大ファン」に変身させる
クアルトリクスのプラットフォーム